ルーターの初期パスワードのままは危ない|家庭でできる5つのチェック
結論:ルーターの「管理用パスワード」(設定画面に入るためのパスワード)が、初期設定や簡単なもののままなら、今日変えましょう。あわせて、ファームウェアの更新、見覚えのない設定がないかの確認、サポートが終わっていないかの確認をすれば、家庭でできる基本の対策はひととおりです。
ルーターは、家のネットの入口にある機器です。総務省と情報通信研究機構(NICT)などが進めるNOTICEや、警視庁は、セキュリティの弱い家庭用ルーターがサイバー攻撃に悪用されているとして、設定の見直しをよびかけています。
「パスワードって、Wi-Fiにつなぐときのアレのこと?」「実家のルーター、いつ買ったか分からない」。そんな人のために、何を・どの順番で確かめればよいかをまとめました。
この記事で分かること
- 変えるべきなのは、どのパスワードか(Wi-Fiのパスワードとの違い)
- 家庭でできる5つのチェックと、その手順
- 古いルーター・実家のルーターの考え方と、2027年4月からの基準の見直し
『ひより、うちをつなぐ』「実家のルーターに、admin」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:お盆の実家の居間。ひよりがテレビ台の奥の白い四角いルーターを手に取る。母が後ろで固定電話の子機を持ってにこにこ。母「それ、ずいぶん前に業者さんが付けてくれたのよ」
- 2コマ目:ルーターの底のシールを見て、ひよりが青ざめる(シールの文字は「admin」「password」だけ読め、ほかは読めない)。ひより(心の声)「これ、初期のまま…?」
- 3コマ目:ひよりがスマホで真壁さんとビデオ通話(真壁さんはスマホの画面の中だけ)。真壁さん「まず初期パスワード。設定画面に入るほうのです」
- 4コマ目:ひよりが母の肩に手を置いて笑顔。母は安心した顔。ひより「お母さん、今日いっしょに変えとくね」
変えるべきなのは「管理用パスワード」
結論:ルーターには、Wi-Fiにつなぐためのパスワードと、ルーターの設定画面に入るための「管理用パスワード」があります。特に危ないのは、管理用パスワードが初期設定や簡単なもののままのときです。

| Wi-Fiのパスワード | 管理用パスワード | |
|---|---|---|
| 何のため? | スマホやパソコンを、Wi-Fiにつなぐため | ルーターの設定画面に入って、設定を変えるため |
| 呼び方の例 | 暗号化キー、ネットワークキー、パスフレーズ など | 管理者パスワード、ログインパスワード、ルーターのパスワード など |
| 初期のままだと? | 近くにいる人に、Wi-Fiを勝手に使われるおそれ | 知らない人に設定を変えられ、攻撃に悪用されるおそれ |
| まず見ること | 推測されにくいか。暗号化の方式(WPA2・WPA3など) | 初期設定・簡単なもののままになっていないか |
Wi-Fiのパスワード
- 何のため?
- スマホやパソコンを、Wi-Fiにつなぐため
- 呼び方の例
- 暗号化キー、ネットワークキー、パスフレーズ など
- 初期のままだと?
- 近くにいる人に、Wi-Fiを勝手に使われるおそれ
- まず見ること
- 推測されにくいか。暗号化の方式(WPA2・WPA3など)
管理用パスワード
- 何のため?
- ルーターの設定画面に入って、設定を変えるため
- 呼び方の例
- 管理者パスワード、ログインパスワード、ルーターのパスワード など
- 初期のままだと?
- 知らない人に設定を変えられ、攻撃に悪用されるおそれ
- まず見ること
- 初期設定・簡単なもののままになっていないか
NOTICEは、ルーターなどのIDとパスワードには「一般用」と「管理用」があり、管理用パスワードが推測されやすい設定の場合にリスクが高くなると説明しています。
「admin」「password」のような初期パスワードが危ない理由
ルーターやネットワークカメラの初期の管理用パスワードは、取扱説明書に書かれていたり、インターネット上に公開されていたりすることがあります。そのため、そのまま使っていると、第三者に簡単にログインされ、悪用されるおそれがあります(NOTICE「安全な管理方法」)。
政府広報オンラインによると、NOTICEでは、過去のサイバー攻撃に使われたものを含む、推測されやすいIDとパスワード約600通り(「password」「888888」「123456」「admin」など)を、インターネット側から機器に入力して、悪用されるおそれのある機器を探し、利用者に注意を伝えています。つまり、こうした簡単なパスワードは、実際に試されるものだということです。
最近のルーターは、変えなくてよい場合も
NOTICEは、初期パスワードが、機器ごとに異なる複雑なものに設定されているルーターは、変更する必要はないとしています。近年の製品には、1台ずつ違う複雑なパスワードが設定されているものがあります。
自分のルーターがどちらかは、本体のシールや取扱説明書で確かめます。シールの管理用パスワードが「admin」「password」や、ごく短い数字だけなら、変えましょう。どちらか分からないときは、変えておくと安心です。
家庭でできる5つのチェック
結論:①管理用パスワード ②ファームウェア ③使わない機能 ④見覚えのない設定 ⑤サポート期間、の5つを、この順で確かめます。

NOTICEの「設置時のチェック項目」「利用中の定期的なチェック項目」と、警視庁の家庭用ルーターの点検事項をもとに、家庭向けに並べ直しました。
チェック1.管理用パスワードを、推測されにくいものにする
NOTICEは、推測されにくい複雑なパスワードの条件として、次の3つを挙げています。
- 英大文字・小文字、数字、記号を含む(入力できない文字の種類がある機種は、できるだけ多くの種類を入れる)
- 10桁以上(それより短くしか入れられない機種は、入れられるいちばん長い桁数)
- 推測されにくいフレーズ(でたらめな文字の並び)
名前や誕生日は避けます。パスワードを複数設定する機器では、同じものを使い回さず、すべてを複雑なものにします。

変え方の流れ(くわしい操作は機種ごとに違うので、取扱説明書で確かめてください)
- ルーターにつないだスマホやパソコンで、取扱説明書に書かれた方法で設定画面を開く
- 今の管理用パスワードでログインする
- 管理用パスワード(管理者パスワード)の変更の画面で、新しいパスワードを設定する
- 新しいパスワードを、紙やパスワード管理アプリなど、なくさない所に控える
チェック2.ファームウェアを最新にする
ルーターを動かしている内蔵のプログラムを「ファームウェア」といいます。ファームウェアに弱点(脆弱性)が見つかると、第三者に悪用されるおそれがあるため、弱点を直した新しいファームウェアに更新します。
- 設定画面に、ファームウェアの更新や自動アップデートの項目があれば、自動アップデートを有効にします(NOTICEは自動アップデートの有効化をすすめています)。
- メーカーのウェブサイトで、今より新しいファームウェアが出ていないかも確かめられます。
チェック3.使わない機能を切る
外出先からインターネット経由でルーターの設定を変えられる機能などは、ふだん使わないなら無効にしておきます。NOTICEは、使っていない機能が有効になっていないかを、取扱説明書や設定画面で確かめるよう案内しています。
チェック4.見覚えのない設定がないかを見る
警視庁は、ルーターが外から不正に操作されて機能を有効にされる手口があり、一度設定を変えられると、パスワードの変更やファームウェアの更新だけでは元に戻らない場合があると注意をよびかけています。設定画面で、次の点を定期的に確かめます。
- 見覚えのない「VPN機能」「DDNS機能」「インターネット(外部)から管理画面への接続」が有効になっていないか
- VPNの設定に、見覚えのないアカウントが増えていないか
見覚えのない設定があったら、ルーターを初期化し、ファームウェアを最新にしたうえで、管理用パスワードを複雑なものに設定し直します(警視庁)。VPNやDDNSの機能がないルーターもあります。

チェック5.サポートが終わったルーターは、買い替えを考える
メーカーのサポートが終わったルーターには、新しいファームウェアが出ません。サポートが終わったあとに弱点が見つかっても直せないため、第三者に悪用されるおそれが高まります(NOTICE・警視庁)。サポート期間は、メーカーのウェブサイトで確かめられます。サポートが終わっていたら、サポートが続いている新しいルーターへの買い替えを考えましょう。
『ひより、うちをつなぐ』「Wi-Fiのパスワードとは、別もの?」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:ひよりのアパートの部屋。ひよりがルーターのシールとスマホを見比べて首をかしげる。ひより「Wi-Fiのパスワードなら、もう知ってるけど…」
- 2コマ目:ドアのところで、真壁さんがタブレットを持って説明する。真壁さん「それは、つなぐ鍵。設定画面に入る鍵は、別にあります」
- 3コマ目:タブレットに、2本の鍵の絵(「つなぐ」「設定」)。真壁さん「設定の鍵を初期のままにすると、家の入口を開けっぱなしにするのと同じです」
- 4コマ目:ひよりがスマホで設定画面を開き、真剣な顔でうなずく。ひより「10桁以上、記号も入れて…よし」
古いルーター・実家のルーターはどうする?
結論:何年も前に付けてもらったまま、という実家のルーターこそ、帰省のときに5つのチェックをしましょう。分からなければ、契約しているプロバイダや回線会社のサポートに相談します。
離れて暮らす親の家のルーターは、工事のときに付けてもらってからそのまま、ということも少なくありません【推測】。親が自分で設定画面を開くのは難しいことが多いので、帰省したときに家族がいっしょに確かめるのが現実的です。

実家のルーター点検メモ(帰省のときに)
プロバイダから「注意喚起」のお知らせが来たら
NOTICEの調査で、悪用されるおそれのある機器が見つかると、契約しているプロバイダから、メールや郵送で注意喚起のお知らせが届きます(政府広報オンライン)。お知らせが届いたら、その案内とNOTICEのサポートセンターのサイトの説明に従って、パスワードの変更やファームウェアの更新をします。
2027年4月から、ルーターの基準が見直されます
結論:2027年4月1日から、新しく認証を受けるルーターには、初期パスワードを推測されにくいものに「変えさせる」仕組みなどが求められます。ただし、今あるルーターや、それより前に認証を受けた機種は対象にならない場合があります。法律の見直しを待たずに、自分で変えるのが基本です。

ルーターのようにインターネットの回線に直接つなぐ機器には、電気通信事業法にもとづく「端末設備等規則」(第34条の10)で、セキュリティの基準が決められています。NOTICEによると、今の基準は次の4つです(2019年の法令改正で義務になり、2020年4月から、この基準を確かめた認定などが行われています)。
- 不正な設定変更を防ぐアクセス制御の機能がある
- 初期設定のIDとパスワードの変更を促す機能がある、または機器ごとに異なるIDとパスワードが付いている
- ファームウェアを更新できる
- 電源が切れても、IDやパスワード、ファームウェアが初期設定に戻らない
この基準が、2026年9月24日に公布された省令(令和8年総務省令第111号)と告示で見直され、2027年4月1日から施行されます。主な変更点は次のとおりです。
| 項目 | 今の基準 | 2027年4月1日から |
|---|---|---|
| 初期のIDとパスワード | 変更を促す機能、または機器ごとに異なる値 | 容易に推測されないものに変更させる機能、または機器ごとに異なり、容易に推測されない値 |
| ソフトウェアの更新 | 更新できること | ①更新できる ②最新版か確認できる ③更新の前にプログラムが正しいか確かめる、の3つの機能 |
| 使わない接続口(インタフェース) | ― | 接続口と使い道を示し、使わないものは無効にする(新しく追加) |
| 停電のあとの設定 | 初期設定に戻らない | 同じ(号の番号だけ変わる) |
出典:総務省 報道資料「端末設備等規則の一部改正等に関する意見募集の結果 及び情報通信行政・郵政行政審議会からの答申」(令和8年7月28日)の別紙1「端末設備等規則の一部改正について」(https://www.soumu.go.jp/main_content/001084090.pdf )、e-Govパブリック・コメント結果(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&Mode=1&id=145210701 )(2026年10月16日確認)
「2027年からは安心」ではない理由
この省令には経過措置があり、施行日より前に認証などを受けた機器は、前の基準のままでよいとされています。そのため、2027年4月以降も、前の基準のルーターが売られていたり、家で使われ続けたりすることがありえます【推測:どのくらい残るかは未確認】。総務省の資料も、前の基準の機器は法律で使用を止めさせるのではなく、周知などで自分から買い替えてもらうよう進める、としています(別紙1)。
また、この基準の対象は、ルーターのように回線に直接つなぐ機器です。ルーターの内側につなぐ機器(たとえばWi-Fiカメラやスマート家電など)は対象ではなく、今後あらためて検討するとされています。
だからこそ、基準の見直しを待たずに、今あるルーターのパスワードとファームウェアを自分で確かめることが大切です。
『ひより、うちをつなぐ』「お母さん、来年も見るね」
漫画の内容を文字で読む
- 1コマ目:実家の居間。ひよりがノートの点検メモに書きこむ。母がお茶を持ってくる。ひより「パスワード変えた、更新もした…」
- 2コマ目:ひよりがスマホでメーカーのサポートのページを見て、小さく困った顔(画面の文字は読めない)。ひより(心の声)「サポート、もう終わってる…」
- 3コマ目:ひよりがスマホの通話で真壁さんと話す(真壁さんは画面の中だけ)。真壁さん「サポートが終わっていたら、買い替えを考えましょう」
- 4コマ目:ひよりと母が並んで笑顔。母が子機を持っている。母「ひよりがいると、心強いわ」
よくある質問
Q1.管理用パスワードを忘れてしまいました。
多くのルーターは、初期化(リセット)すると、管理用パスワードを含む設定が初期の状態に戻ります。ただし、初期化すると、インターネットにつなぐための設定もやり直しになることがあります。取扱説明書で手順を確かめ、分からないときはメーカーや、契約しているプロバイダのサポートに相談してください。
Q2.Wi-Fiのパスワード(暗号化キー)も変えたほうがいいですか?
Wi-Fiのパスワードも、推測されにくいものであることが大切です。警視庁は、暗号化の方式は「WPA3」に設定することをすすめ、暗号化に使うキーワードも推測されにくい複雑なものにするよう案内しています。変えると、つないでいるスマホなどをすべてつなぎ直すことになるので、時間のあるときにしましょう。
Q3.ルーターがプロバイダからのレンタル品です。
レンタルのルーターは、ファームウェアの更新や交換の扱いが会社ごとに違います。管理用パスワードの変え方や、サポート期間について、契約しているプロバイダや回線会社に確かめてください。
Q4.買い替えるなら、どんなルーターがいいですか?
NOTICEは、1台ずつ異なるIDやパスワードが割り当てられている機器や、ファームウェアの自動アップデートができる機器を選ぶことをすすめています。日本で使う機器かどうかは、本体などの認証の表示でも確かめられます。ルーターには、回線につなぐ機器としての認証(電気通信事業法)を示す表示があり、無線(Wi-Fi)の「技適マーク」(電波法)とは別の制度です。くわしくは、技適マークの記事で扱う予定です。
Q5.ほかのスマート家電も、同じように気をつけたほうがいいですか?
はい。ネットワークカメラなども、ルーターと同じように、パスワードとファームウェアの管理が大切です(NOTICE)。カメラの設定は、別の記事でくわしく扱う予定です。
スマートホームの機器を初めてつなぐときの考え方は、賃貸でもできるスマートホーム|穴を開けない始め方と最初の1台の「つないだら、最初にする設定」にまとめています。
まとめ|まず初期パスワード、次に更新
- 変えるべきなのは、設定画面に入るための管理用パスワード。初期設定や簡単なもののままなら、今日変える。
- 条件は「英大文字・小文字・数字・記号」「10桁以上」「推測されにくい」(NOTICE)。
- ファームウェアは自動アップデートを有効に。使わない機能は切る。
- 見覚えのないVPN・DDNS・外からの管理画面の設定があったら、初期化・更新・パスワードの再設定(警視庁)。
- サポートが終わったルーターは、買い替えを考える。
- 2027年4月から基準が見直されるが、今あるルーターは対象外の場合がある。待たずに自分で確かめる。

参考にした資料
- NOTICE「ルーター / ネットワークカメラの安全な管理方法」https://notice.go.jp/safety (2026年10月16日確認)
- NOTICE「ルーター / ネットワークカメラに関する制度・基準」https://notice.go.jp/risk/router (2026年10月16日確認)
- 政府広報オンライン「ウェブカメラやルータが乗っ取られる?IoT機器のセキュリティ対策は万全ですか?」https://www.gov-online.go.jp/article/202005/entry-9538.html (2026年10月16日確認)
- 警視庁「家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起について」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/cyber/notes/router.html (2026年10月16日確認)
- 警視庁「Wi-Fi(無線LAN)ルーターをお使いの方へ」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/cyber/notes/cyber401.html (2026年10月16日確認)
- 総務省 報道資料(令和8年7月28日)別紙1「端末設備等規則の一部改正について」https://www.soumu.go.jp/main_content/001084090.pdf (2026年10月16日確認)
- e-Govパブリック・コメント「端末設備等規則の一部を改正する省令案等に関する意見募集の結果」https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&Mode=1&id=145210701 (2026年10月16日確認)